薄桜鬼【螢火】

山南さん…あれ？土方さん主役？　・・・ほんの少しBL気味！？

え～っと・・・【螢】の続編な感じです。土方と山南の大人ペア。

※稚拙な表現・時代錯誤な表現等ありましたらごめんなさい。生温く見守ってやって下さい(汗)

--土方の部屋にて--

「遅かったじゃねぇか。」

「えぇ、折角お誘い頂いたのに土産もなし、というのは無粋ですから。」

コト、と準備した干物を置く。

「気が利くなぁ、山南さんは。」

「恐らく滅多にあることではありませんしね、お互い。」

いつもの微笑みを浮かべながら腰を下ろす。

「平助君と斎藤君にも声をかけましたが。」

「ぁん？・・・平助はいいとして、斎藤は珍しいな。」

「（ｸｽ）きっと土方君の誘いでしたら斎藤君も断りはしないと思いますが？」

「あいつは皆と呑むような性質じゃねぇからな・・・誘ったことはなかったんだが。」

クイ、と既に何杯目かの酒を空けた。

「山南さん。」

土方が用意していた杯を受け取り、酒が注がれる。
「頂きます」と一言の後、クイッと一気に喉へ流す。

「・・・やるな。」

ニヤリと不敵に笑う土方へ返杯し、それを受けた土方も一気に酒を煽る。

「いえ、私はあまり強いほうではありませんよ。顔に出ないだけ、ですから。」

「酒癖は悪いのか？」

「・・・そうですね、人の話では・・・男女構わず触るようです。」

「・・・それは女は同席させられねぇな（ｸｽｸｽ）」

「何かあったら困る」と笑いながら土方は更に杯を空ける。今日はかなり機嫌が良いようだ。
きっとこの組み合わせを他の隊士が見たら我が目を疑うだろう。

「普通に考えて…男の体を触っても何の面白味も無いと思うのですが。酔っている自分はそうではないようで。」

ふと何かを思いつき、酒で満ちた杯を下ろし、じっと見つめる。

「・・・どうしたんだ？」

土方も山南の視線の先にある杯を見つめる。

「いえ・・・こうして杯を見ると、月が丁度映るんですよ。」

「そりゃあいい、”月を呑む” か。豪勢だな。」

二人で開け放たれた障子の向こうに見える月を酒に映しながら一気に煽る。

「流石にこの酒、土方君が隠し持っていただけありますね。非常に呑みやすい。」

「人聞き悪いじゃねえか。量で呑む奴に呑ませても面白くもないだろう。」

「それは確かに。」

暫くすると足音が部屋へ近づいてきた。

「土方さーん！呑みに来ましたよ～」　「・・・・・。」

「平助に斎藤か、仕方ねぇな。」

「・・・土方君、自分は戻 」「斎藤、お前は珍しすぎるから偶には付き合え。」

土方の一声で斎藤は腰を下ろす。

「山南さん、酔ってる？」

「・・・酔っているとは思いますよ？」

「じゃあどんどん呑んじゃってよ山南さん♪」

「平助、山南さん酔わせてどうなっても知らねぇぞ。」

「えぇっ！？土方君スゲー機嫌良い！？ってか、山南さん酔うとどーなんの？」

「襲うかもしれませんよ、男女問わず。（ﾆｯｺﾘ）」

「へぇっ！？俺とか斎藤・土方君でも襲うのかっ！？」

すすす、と山南から平助が遠ざかった。

「・・・あ～っ；　酒切れそうだから俺取ってくる！」

「頼んだぞ平助。それと斎藤、他に起きている奴がいたらついでに声掛けて来てくれ。」

「分かりました。」

平助と斎藤を見送ると、

「・・・平助君は純粋で無邪気だ、斎藤君は真面目すぎて面白い、土方君は・・・」

ふと土方へ視線を巡らせる。

「・・・何だ、俺の事は褒めちゃあもらえないのか？」

「（ｸｽｯ）鬼の副長が、私などに褒めて貰いたいのですか？」

「褒められて気分が悪くなる奴はいねぇだろう？」

「・・・では土方君が私を褒められる・・・と言うのでしたら。」

クスクスと笑い挑むような視線を向けて山南が酒を煽る。

「・・・望むところだ。」

じっと土方の視線に曝される。自分はこの男の目にどう映っているのだろう？
純粋な興味だった。

「腕は立つ、学はある、それに・・・」

杯を置き山南の目の前へ来る。

「顔もいい。」

「・・・。」

山南は無言で酒を呑む。

「・・・”顔”ですか。土方君からそこを褒められるとは光栄ですね。・・・私が女だったら落ちていたと思いますか？」

クスクスと笑うと杯を置き、目の前の土方の頬へ手を伸ばす。

「いや・・・無理だろうな。袖にもかけて貰えないんじゃないか？」

確実に女ではないのに・・・酔っているであろう山南の動きが妙に妖艶だ。

「・・・褒めたら褒めてくれるんじゃなかったのか？」

髪を、頬を、首を伝う山南の手をそのままに、強請るように問いかける。

「・・・あぁ、そうでしたね。　　　土方君、貴方は…」

周囲には誰も居ないのに、まるで土方にだけ聞こえれば良いと言うように
顔を寄せて耳元で囁く。
そしてそのまま体がグラリと傾いた。

「っ！　おい！山南さん！？」

咄嗟に抱き止めた土方は、慌ててと覗き込むと・・・

「・・・やっと、か。」

土方は静かに微笑んだ。
ここ最近は激務が続き、特に山南は寝る時間すらあまりなかったはずだ。
それでも山南は「区切りがつくまで」と夜が明けるまで文机へ向かう。
こうして無理矢理にでも眠らせなければ長時間の睡眠など取りはしないだろう。

寝息を立て始めた山南を静かに横たえ、頭を自分の膝に乗せる。
眼鏡を外し、髪に触れると指の間からサラサラと零れる。
そういえば眼鏡を外した山南をこんなに近くで見るのは初めてだな、と、その顔に視線を落とす。
静かに閉じられた瞼、以外に長い睫、微かに開かれた薄い唇・・・

「・・・美人なんざ、見飽きたと思ったんだがな。」

苦笑しながら何気なく頬に触れる。

「・・・」

そのまま頬に手を滑らせると「ん…」と膝の上にある頭が微かに動く。

ふと、遠くで平助の声が聞こえた。
山南のこの姿を皆に見せるのは、何故だか惜しい。
とはいえ力の抜けた人間ほど重いものはないだろう。背中に背負うにも一人では無理だ。
仕方なく横抱きにして部屋を出る。
幸い山南の部屋は直ぐ近くなので、部屋へ寝かせて自室へ戻った。

「土方さん、どこ行ってたんですか？」

斎藤に声を掛けられたのであろう新八が酒を片手に振り向いた。

「土方さん、山南さんは？」

「あぁ、・・・山南さんは日頃あまり寝てねぇからな。強い酒で無理矢理寝て貰ったんだ。」

「・・・そういうことでしたか。」

「おう、斎藤ご苦労。居たのは新八だけだったか。」

「なんだ～山南さん酔っ払って例の酒癖が土方さんへ出たのかと思って一寸焦っちゃったよ！」

「あぁ？・・・触られたぞ。」

「えぇえっ！？土方さん無事っ！？」

「何言ってんだ。別に顔触られるくらいどうってことないだろ。」

「あ、何だ・・・”顔”ね；　あ～びっくりした。」

「しかし・・・本人に言ったら嫌な顔されるかもしれないが、山南さんは美人だ。口説かれた時は迫力はあったな。」

「「・・・えええっ！！？」」

声を揃えてひっくり返るくらいに驚く平助と新八をよそに、斎藤はひたすら口数少なく土方から注がれる酒を呑んでいた。

「・・・山南さんは何と？」

斎藤にも流石に酒が回ってきたのか、普段ならば聞いてこないであろう質問を投げてきた。

「何だ、気になるか？」

「・・・あの”山南さん”です、興味はあります。」

「「うんうん！」」

「・・・阿呆、その山南さんが言ったんだ、そう簡単に教えてたまるか。」

ニヤリと笑い、自分の杯にある酒を一気に煽る。

「・・・では後ほど本人に直接聞いてみます。」

「お、斎藤、珍しく酔ってるか？・・・それは山南さんと呑むってことか？（ｸｸｯ）斎藤なら喜んで相手してくれるだろうよ。」

「「はいはい！俺！」」

「平助と新八じゃあ返り討ちだな。」

 

--数刻後--

斎藤は珍しいことだが若干フラフラとしながらも部屋へ戻り、平助と新八は外から戻った原田の部屋へ押しかけに行った。

静かになった自室で一人、月を見ながら酒を呑むのも悪くない。
ふと部屋の前を螢が舞う。

「・・・山南さんに着いて来た螢か。」

呟いて、酒を呑むと、熱さが喉を伝う。

 

『土方君、貴方は・・・私、の・・・　　　　　　　』

 

 

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【あとがき】
(||゜Д゜)ヒィィィ!(゜Д゜||)　ごめんなさいっ！
…表現がＢＬ。土方×山南！？　うっわ～！（軽くパニック）
でもごめんなさい。正直言って・・・私は好きです。（何のカミングアウトだ）
いえ、千鶴ちゃん大好きですよ。しかし山南さんと絡めようとすると思い浮かぶのは・・・何故か隊士。
しかも見事にWikiの影響で土方か沖田。

・・・開き直って週末行く社員旅行の温泉をネタにして土×山でも書いてやろうかと思ってしまった私です。。
↑読んでみたいって方、いるのだろうか(汗)